広島市の川が大雨で激しい濁流になることがあっても、高い波が立つことはないように思います。
しかし中国の銭塘江では年に一度、大海嘯が発生することが古くから知られていて、見物に大勢が訪れるそうですが、川に近づき過ぎて転落、死亡事故が起こることもあるらしいです。
三角波は2方向からの波がぶつかり合って三角の波が立つ、漁業などでは船の転覆必至の脅威だといわれますが、銭塘江でも発生するそうです。
銭塘江は下流で大きく蛇行していて流れが強いうえ、河口が三角形に広がり、その河口には島が点在しているので満潮の時は潮流があらゆる方向から押し寄せ、市街地に近い場所でも三角波が立つのだそうです。
以前テレビで見たことがありますが、水面いっぱいに褐色の三角波が逆立ち川岸に打ち付ける、それはそれは荒々しい光景でした。
広島市の川は多島海の瀬戸内海に何本も注いでいますが、河口に潮を堰き止めるような島が点在しているわけではなく、瀬戸内海の潮流は複雑ではありますが、河口を逆流する威力まではないようで、これから先も三角波の脅威にさらされることはなさそうです。
銭塘江と広島七川は、川の広さに加え、外海の潮流に接しているか否かで大きく違うようです。
瀬戸内沿岸の住民は、日本海を訪れると海が怖い、と一様に言うそうですが、波の荒さやほとんど島がない、だだっ広い海の景色に不安を覚えるようです。
冬季の日本海は荒れっぱなしなので漁には出られないそうですが、瀬戸内海では冬は牡蠣の最盛期なので、牡蠣筏がフル稼働です。
余談ですが、2018年に亡くなったアーシュラ・K.ル=グウィンの「ゲド戦記」の舞台の一つがアーキペラゴ、多島海でした。
てっきり作家の造語かと思いきや、イタリア語由来の英語なんですね。
イタリアではエーゲ海を指すそうです。
この「ゲド戦記」、ジブリ映画で一躍有名になりましたが、シリーズ最初の「影との戦い」の発行は1968年、最後の「ゲド戦記外伝」は2001年発行で、足かけ33年かかって完結しています。
長い…。
作者のル=グウィン、ご両親が文化人類学者だということもあってか、作品の構成が緻密で読み終えるのに非常に時間がかかりますが、読後も記憶が鮮明に残る名作が多いと思います。
幼い頃から神話や伝説、10代ではロード・ダンセイニのファンタジー小説やSF雑誌を読んでいたそうで、それらがゲド戦記の世界を構築する土台になっていたのでしょうね。